ホテルに戻ると、メンバーたちはそれぞれの部屋へ戻っていった。

莉麻も明日のスケジュールを確認し終え、部屋へ向かおうと廊下を歩いていた。

そのとき後ろから足音が近づいてくる。

悠真「莉麻ちゃん」

振り返ると、悠真が立っていた。

莉麻「どうしたの?」

悠真は少しだけ迷うように視線を落とした。

そして――

悠真「……ちょっとだけ、話したい」

その声があまりにも真剣で、莉麻は頷いた。

莉麻「うん。いいよ」

二人はホテルの小さなラウンジへ移動した。

人の少ない静かな場所。

向かい合って座ると、悠真はしばらく何も言わなかった。

莉麻は急かさず、ただ待つ。

やがて悠真が、ゆっくり口を開いた。

悠真「……今日、莉麻ちゃんが『ずっとそばにいて』って言ってくれたでしょ」

莉麻「うん……」

悠真「あれ、本当に嬉しかった」

悠真は少し照れたように笑う。

悠真「俺、ずっと……莉麻ちゃんにとって特別な存在になりたいって思ってた」

莉麻の心臓が跳ねた。

莉麻「……特別?」

悠真「うん」

悠真は迷わず頷く。

悠真「俺にとって、莉麻ちゃんはもう特別だから」

その言葉が、静かなラウンジに落ちる。

莉麻は何も言えなかった。

胸の奥が、いっぱいになる。

嬉しい。

恥ずかしい。

それから――少しだけ怖い。

このまま、この気持ちを認めてしまったら。

もう以前のように「ただの推しとマネージャー」ではいられなくなる気がした。

悠真はそんな莉麻を見て、優しく笑う。

悠真「……急がなくていいよ」

莉麻「え?」

悠真「莉麻ちゃんがどう思ってるのか、今すぐ答えなくてもいい」

その優しさに、莉麻の胸がまた締め付けられる。

――やっぱり。

私は、この人が好きなのかもしれない。

まだ口にはできない。

でも、その気持ちはもう、無視できないところまで来ていた。