その後、撮影の合間に三人で少しだけ話す時間ができた。

春空は莉麻の隣に座り、悠真はその反対側に腰を下ろしている。

三人でいるだけなのに、なぜか妙な空気が流れていた。

春空はそんな空気を感じ取っているのか、少しだけ笑う。

春空「悠真、そんなに警戒しなくても取らないよ?」

悠真「……別に警戒してない」

春空「してるじゃん」

莉麻は二人を見て、思わず笑ってしまう。

莉麻「ふふっ……二人とも、子どもみたい」

その瞬間悠真と春空が同時に莉麻を見る。

悠真「……莉麻ちゃんが笑った」

春空「ほんとだ」

二人から同時に言われて、莉麻は少し恥ずかしくなった。

莉麻「え、そこ?」

悠真「うん」

悠真は嬉しそうに笑う。

そして、ほんの少しだけ莉麻との距離を縮めた。

肩が触れそうなほど近い。

莉麻は気づいている。

けれど、離れなかった。

むしろ――その距離が、嫌じゃない。

そんな自分に気づいてしまい、莉麻はそっと視線を落とした。

すると悠真が小さな声で言う。

悠真「……莉麻ちゃん」

莉麻「ん?」

悠真「さっき、俺も一緒にいていいって言ってくれたの……嬉しかった」

莉麻「……うん」

悠真「俺、もっと莉麻ちゃんの近くにいたい」

その言葉に、胸がきゅっとなる。

以前なら、ただ優しい言葉だと思っていた。

けれど今は――

悠真が自分に向ける言葉一つ一つが、特別に聞こえてしまう。

莉麻はそっと悠真を見る。

その瞬間、悠真と目が合った。

数秒。

何も言わないまま、見つめ合う。

そして莉麻は初めて――

「悠真に好かれたら、嬉しいかもしれない」

そんなことを、ほんの少しだけ考えてしまった。