莉麻「えっと……春空くんが、撮影が終わったら少し一緒にいたいって」

正直に答えると、悠真の表情がほんの少しだけ曇った。

悠真「……そっか」

それだけ。

けれど、声がいつもより低い。

莉麻は思わず悠真の顔を覗き込んだ。

莉麻「悠真くん?」

悠真「ん?」

莉麻「……もしかして、怒ってる?」

悠真「怒ってないよ」

そう言って笑う。

けれど――

その笑顔は、いつもの悠真とは少し違った。

莉麻はしばらく悠真を見つめる。

すると悠真が、小さく息を吐いた。

悠真「……ただ」

莉麻「うん?」

悠真「春空と莉麻ちゃんが二人でいるって聞いたら……ちょっと嫌だなって思った」

莉麻の心臓が跳ねる。

莉麻「……嫌?」

悠真「うん」

悠真は誤魔化さなかった。

真っ直ぐに莉麻を見る。

悠真「俺、莉麻ちゃんと一緒にいたいから」

その言葉に、莉麻は何も言えなくなった。

――また。

胸が大きく鳴る。

今までなら「悠真くんは寂しがり屋なんだな」と笑って終わっていたかもしれない。

でも今は違う。

悠真が自分を見つめる、その目。

自分のためだけに見せるような、少し不安そうな表情。

それを見ると、胸の奥が苦しいくらいに締め付けられる。

莉麻「……悠真くん」

悠真「ん?」

莉麻は少し迷ってから、そっと笑った。

莉麻「じゃあ……悠真くんも一緒にいればいいよ」

悠真の目が大きく開く。

悠真「……いいの?」

莉麻「うん」

その瞬間。

悠真の表情が、ぱっと柔らかくなった。

悠真「……よかった」

その笑顔を見た莉麻は――

また、胸の奥が温かくなるのを感じていた。

そして、ふと思う。

――私。

悠真にこんな顔をされると、嬉しい。

その事実に気づいた瞬間、莉麻は少しだけ視線を逸らした。