莉麻「……寂しいって?」

春空は、少しだけ笑った。

いつものような軽い笑顔。

けれど、莉麻にはなぜか、その奥にあるものが見えた気がした。

春空「うん。だって最近、悠真のところばっかり行くから」

莉麻「そ、そんなことないよ」

春空「ほんと?」

春空が一歩近づく。

からかっているようにも見える。

でも、その声はいつもより少しだけ優しかった。

春空「じゃあ……俺のところにも来て?」

莉麻「え?」

思わず目を瞬く。

春空は莉麻の顔を見つめたまま、ふっと笑った。

春空「撮影終わったら、少しだけ一緒にいたい」

その言葉に、莉麻は困ったように笑う。

莉麻「うん。いいよ」

春空「ほんと?」

莉麻「うん」

春空の表情がぱっと明るくなる。

その様子を少し離れた場所から見ていた奈津は、静かに二人を見つめていた。

そして同時に――

撮影を終えた悠真が戻ってくる。

悠真「……莉麻ちゃん」

莉麻が振り返る。

莉麻「悠真くん、お疲れさま」

悠真は笑いながら莉麻のところへ歩いてくる。

けれど、その途中で春空を見る。

そして莉麻を見る。

ほんの一瞬だけ。

悠真の目が変わった。

――春空と、何を話してたんだろう。

そんな疑問が、表情に浮かぶ。

悠真「……何話してたの?」

莉麻「え?」

悠真「なんか、楽しそうだったから」

莉麻は少し驚いた。

今までの悠真なら、こんなことを聞いてこなかった。

けれど今は。

隠すつもりがないのか――

ほんの少しだけ、嫉妬している。

そしてその変化に気づいた莉麻の胸が、また小さく鳴った。