次の撮影まで、ほんの少しだけ時間が空いた。

メンバーたちはそれぞれ好きな場所で休憩している。

莉麻はスタッフから渡された資料を確認しながら、次の撮影の準備をしていた。

その隣には、当然のように悠真がいる。

さっきからずっと。

悠真「莉麻ちゃん」

莉麻「ん?」

悠真「これ、次の撮影って俺から?」

莉麻「うん。最初に悠真くんだよ」

悠真「そっか」

それだけ聞くと、悠真は満足そうに笑った。

そして少し間を空けて。

悠真「じゃあ、終わったらまた莉麻ちゃんのところ来るね」

莉麻「ふふ。そんなに私のところに来なくても、ちゃんとここにいるよ?」

悠真「……うん。でも、来たいから」

その言葉に、莉麻は一瞬黙った。

――来たいから。

そんな理由で、自分のところへ来てくれる。

胸の奥が、また温かくなる。

莉麻「……そっか」

小さく笑うと、悠真も嬉しそうに笑った。

少し離れた場所では、春空と奈津がその様子を見ていた。

春空は苦笑しながら呟く。

春空「……悠真、本当に変わったね」

奈津「うん。前なら絶対、こんなに分かりやすく言わなかった」

春空は少し考えてから、莉麻を見る。

春空「でも……莉麻ちゃんも変わってない?」

奈津の視線も莉麻へ向く。

確かに。

莉麻は以前より、悠真を見る時間が増えている。

悠真が近くにいると自然に笑う。

声をかけられると、少し嬉しそうにする。

そして今も―悠真が撮影へ向かったあとも、莉麻はその背中を目で追っていた。

自分でも気づかないまま。

春空「……莉麻ちゃん」

莉麻「え?」

急に呼ばれて、莉麻が振り返る。

春空はいつもの柔らかな笑顔を浮かべていた。

春空「そんなに見送るなら、俺もちょっと寂しいかも」

莉麻「えっ……?」

冗談みたいな言葉。

けれど、その瞳だけは少しだけ真剣だった。