しばらくすると、悠真の呼吸がゆっくりと落ち着いていった。

莉麻は肩を貸したまま、動かずにいる。

起こしてしまわないように。

……という理由もある。

けれど、本当は。

このまま、もう少しだけ悠真の隣にいたかった。

そんな自分の気持ちに気づいて、莉麻は小さく戸惑う。

――前は、こんなこと思わなかったのに。

悠真が少しでも体調を崩せば心配する。

それはマネージャーとして当然。

そう思っていた。

でも今は悠真が目を閉じているだけなのに、離れるのが少し寂しい。

そのとき、悠真が小さく身じろぎした。

悠真「……莉麻ちゃん」

莉麻「ん?」

まだ目を閉じたまま、悠真が呟く。

悠真「……そこにいる?」

その一言に、莉麻の胸がきゅっとなる。

莉麻「いるよ」

すぐに答える。

すると悠真は安心したように、ほんの少しだけ笑った。

悠真「……よかった」

その笑顔から莉麻は、なぜか目を逸らせなくなった。

――この顔。

私にしか見せてくれないのかな。

そう考えてしまった自分に、また胸が鳴る。

莉麻「……悠真くんって」

悠真「ん……?」

莉麻「私の前だと、ちょっとだけ甘えんぼだよね」

悠真は少しだけ目を開ける。

そして、照れたように笑った。

悠真「……莉麻ちゃんだから」

その言葉に莉麻の心臓が、大きく跳ねた。

何も言えなくなってしまう。

ただ、肩に伝わる悠真の温もりを感じながら――

莉麻はそっと視線を落とした。

胸の奥に生まれたこの感情が何なのか。

まだ、名前をつけられないまま。