撮影現場に到着すると、すぐにスタッフたちが慌ただしく動き始めた。

莉麻もいつものようにスケジュールを確認しながら、メンバーの飲み物や衣装、撮影順を一つずつ確認していく。

昨日までと何も変わらない。

……はずなのに。

ふと顔を上げると、少し離れた場所にいる悠真と目が合った。

悠真は一瞬だけ驚いたように目を丸くして、それからふっと笑った。

その笑顔を見たらまた、胸の奥が小さく跳ねる。

莉麻は慌てて視線を手元の資料へ落とした。

莉麻「……まただ」

自分でも気づかないうちに、悠真を目で追っている。

それに気づいたのか、隣にいた奈津が静かに莉麻を見る。

奈津「莉麻ちゃん」

莉麻「え?」

奈津「さっきから、悠真のこと見てない?」

莉麻「……えっ?」

一気に頬が熱くなる。

莉麻「み、見てないよ!」

奈津「そう?」

奈津はそれ以上追及しなかった。

ただ、その視線は少しだけ寂しそうだった。

その頃撮影を終えた悠真が、莉麻のところへ戻ってくる。

悠真「莉麻ちゃん」

莉麻「お疲れさま。大丈夫?」

悠真「うん。……莉麻ちゃんがいるから大丈夫」

あまりにも自然に言われて。

莉麻は言葉を失った。

――また。

この人は、どうしてこんなふうに私の心を揺らすんだろう。

悠真「……莉麻ちゃん?」

莉麻「……ううん。なんでもない」

笑って誤魔化す。

けれどその日から莉麻は、自分でも気づかないまま――

悠真の姿を探すようになっていた。