それぞれの部屋へ戻ったあとも春空は、なかなか眠れずにいた。

ベッドに横になりながら、天井をぼんやり見つめる。

頭に浮かぶのは、さっきの莉麻の言葉。

――「私、もともと悠真くんのファンだったから。」

そして、

――「今の悠真くんのほうが、好きかも。」

春空は小さく息を吐いた。

春空「……そりゃ、敵わないよな。」

悠真と莉麻が出会ったのは、自分たちよりずっと前。

初めて莉麻に会ったときだって、悠真はすでに莉麻に心を開いていた。

あんなに自然に頼ってあんなに安心した顔をしてそれが気になって、自分も莉麻を見るようになった。

もちろん――初めて見たとき、可愛いと思った。

けれど、それだけじゃない。

悠真があそこまで心を許している女の子。

それが、どうしても気になった。

そして気づけば、自分も莉麻を目で追うようになっていた。

なのに。

春空「……最初から、悠真が一歩先にいたんだ。」

今日、その事実を改めて思い知らされた。

ファンだったという過去まで知ってしまった。

春空は目を閉じる。

春空「……でも。」

小さく笑う。

春空「俺だって、諦めるつもりないけど。」