「近い」と口にしたあと、莉麻は少しだけ恥ずかしくなって視線を落とした。

ファンだった頃は、ステージの上にいる悠真を見ていた。

歌って、踊って、笑って。

自分とはまったく違う世界にいる人。

それなのに今は、同じ部屋で笑っている。

疲れたら自分の肩に頭を預けてくることもある。

そんなことを考えると、胸の奥がふわっとする。

陽「じゃあさ、今の悠真のほうが好き?」

莉麻「えっ……。」

突然の質問に、莉麻が固まる。

悠真「陽、それは……。」

陽「だって気になるじゃん!」

春空は笑っている。

けれど、莉麻の答えを待つように黙っていた。

奈津も何も言わず、莉麻を見る。

莉麻は少し考えてから――。

莉麻「……今の悠真くんのほうが、好きかも。」

その言葉に、悠真の目がわずかに見開かれる。

春空の笑顔も、一瞬だけ止まった。

奈津も静かに息を飲む。

けれど莉麻は、慌てて言葉を続けた。

莉麻「……あ、もちろんファンとしてっていう意味で!」

陽「ほんとに〜?」

莉麻「ほんと!」

みんなが笑う。

けれど悠真だけは笑えなかった。

――「今のほうが好き」。

その一言が、胸の奥に残っていた。