撮影現場に到着する少し前。

莉麻がようやく目を覚ました。

ゆっくり顔を上げる。

莉麻「……ん……。」

そして、自分が悠真の肩に頭を預けていたことに気づいた。

莉麻「……えっ。」

慌てて身体を起こす。

莉麻「ご、ごめん! 私、寝ちゃってた?」

悠真は笑った。

悠真「うん。」

莉麻「ずっと……?」

悠真「結構。」

莉麻の顔が少し赤くなる。

莉麻「肩、大丈夫?」

悠真「全然。」

莉麻「本当に?」

悠真「うん。むしろ……。」

そこで悠真が言葉を止める。

莉麻「むしろ?」

悠真は少しだけ照れたように笑った。

悠真「……莉麻ちゃんが隣で寝てるの、なんか安心した。」

その言葉に、莉麻の胸が――

どくん。

と鳴った。

莉麻「……。」

一瞬、何も言えなくなる。

悠真はいつものように笑っている。

なのに、その笑顔を見た瞬間。

胸の奥が妙に熱くなった。

莉麻「……そ、そう?」

悠真「うん。」

莉麻は誤魔化すように窓の外を見る。

――なんで。

ただ「安心した」って言われただけなのに。

さっきまで眠かったはずなのに、急に目が覚めたような気がした。