撮影場所へ向かう車の中。

メンバーとスタッフが乗り込み、それぞれ席につく。

莉麻は空いている席を確認して――。

自然と悠真の隣に座った。

悠真「……莉麻ちゃん、ここ?」

莉麻「うん。隣、空いてたから。」

ただそれだけ。

けれど悠真は、少し嬉しそうに笑う。

悠真「そっか。」

車が走り出す。

窓の外を眺めながら、莉麻はぼんやりしていた。

朝からの仕事。

ツアーの疲れ。

昨日の停電。

いろいろ重なって、思った以上に眠気が強い。

しばらくして――。

こくん。

莉麻の頭が揺れる。

もう一度。

こくん。

悠真が横を見る。

悠真「……莉麻ちゃん?」

返事はない。

そして次の瞬間。

ぽすっ。

莉麻の頭が、悠真の肩にそっと乗った。

悠真の身体が固まる。

悠真「……。」

眠っている。

完全に無防備な顔。

普段なら誰かに気を遣って、眠くても頑張って起きている莉麻が。

自分の隣では、安心したように眠っている。

悠真はしばらく莉麻を見つめた。

そして小さく笑う。

悠真「……寝てていいよ。」

起こさないように、自分の肩を少しだけ莉麻のほうへ寄せる。

その表情は――。

他のメンバーにはほとんど見せない、柔らかなものだった。