奈津と一緒に資料を整理していると、少し離れたソファから悠真の声が聞こえる。

悠真「……莉麻ちゃん。」

莉麻が振り返る。

莉麻「なに?」

悠真はソファに座ったまま、少しだけ眠そうにこちらを見ていた。

悠真「今日って、このあと車で移動だよね?」

莉麻「うん。午後から撮影だから、そろそろ出るよ。」

悠真「そっか……。」

どこかぼんやりしている。

莉麻は手を止め、悠真のところへ近づいた。

莉麻「……悠真くん、眠い?」

悠真「ちょっとだけ。」

莉麻「昨日ちゃんと寝た?」

悠真「……寝たよ。」

一拍。

悠真「たぶん。」

莉麻「たぶんって何?」

思わず笑ってしまう。

悠真も小さく笑った。

その笑顔を見て、莉麻の胸がほんの少しだけ温かくなる。

――最近悠真がこうやって自分にだけ少し甘えてくるのが、嫌じゃない。

むしろ……。

莉麻「……なんか、嬉しいかも。」

悠真「え?」

莉麻「ううん。なんでもない。」

莉麻は誤魔化すように笑った。

けれど自分でも気づかないところで。

悠真との距離が、少しずつ特別なものになり始めていた。