駅に着くと、それぞれ帰る方向が分かれる。

奈津が先に莉麻へ声をかけた。

奈津「莉麻ちゃん、今日はありがとう。」

莉麻「ううん。奈津くんもちゃんと休んでね。」

奈津「分かった。」

春空も莉麻を見る。

春空「莉麻ちゃん、今日は本当にありがとう。」

莉麻「こちらこそ。」

春空は少し照れたように笑う。

そして最後に、悠真が莉麻の前に立った。

悠真「莉麻ちゃん。」

莉麻「なに?」

悠真は少し迷ったあと、柔らかく笑った。

悠真「……また明日ね。」

たったそれだけ。

なのに――莉麻の胸が、また小さく跳ねた。

莉麻「……うん。また明日。」

悠真が離れていく。

その背中を、莉麻は無意識に目で追っていた。

一歩。

また一歩。

悠真の姿が人混みに紛れていく。

それでも莉麻は、しばらくその方向を見つめていた。

莉麻「……。」

そして、ふと我に返る。

莉麻「……私、なんで見てるんだろ。」

自分でも分からない。

ただ――。

悠真の姿が見えなくなった瞬間。

少しだけ寂しいと思った。

その感情が、莉麻の中で初めて――

「仲間だから大切」という言葉だけでは説明できないものになり始めていた。