四人で歩いていた帰り道。

少し前を歩く春空と莉麻を、悠真と奈津が後ろから追っている。

春空「莉麻ちゃん、今日のこと……誰にも言わないでね。」

莉麻「停電で怖くなったこと?」

春空「うん……恥ずかしいから。」

莉麻「ふふっ。分かった。誰にも言わないよ。」

春空が安心したように笑う。

その横顔を見ながら、莉麻も自然に笑った。

――さっき抱きしめたときのことを思い出す。

暗闇の中で震えていた春空。

自分の服をぎゅっと掴んでいた手。

そして、莉麻の胸に顔を埋めていたこと。

思い出すと、なぜか少しだけ胸がくすぐったくなる。

莉麻「……。」

どうしてだろう。

春空が怖がっていたから、抱きしめただけなのに。

あのとき――自分まで少しドキドキしていた。

莉麻「……変なの。」

小さく呟く。

春空「ん? 何が?」

莉麻「ううん。なんでもない。」

莉麻は笑って誤魔化した。

まだ、この気持ちに名前をつけるつもりはなかった。