帰る準備をするため、莉麻がデスクへ戻る。

春空はその後ろをついていき、悠真も少し遅れて歩く。

すると、後ろから奈津の声がした。

奈津「莉麻ちゃん。」

莉麻が振り返る。

莉麻「なに?」

奈津「明日、少し早めに来られる?」

莉麻「うん。大丈夫だよ。」

奈津「じゃあ、明日の予定……俺と一緒に確認してほしい。」

悠真と春空が、同時に奈津を見る。

奈津はいつも通り落ち着いた顔をしている。

けれど――莉麻と一緒にいたい。

そんな気持ちを、もう完全には隠していなかった。

莉麻「分かった。」

奈津「ありがとう。」

莉麻が笑う。

その笑顔を見た奈津も、自然と表情を緩める。

それを見ていた悠真は、思わず小さく息を吐いた。

悠真「……奈津。」

奈津「ん?」

悠真「仕事の確認なら、俺も手伝うよ。」

一瞬、空気が止まる。

奈津は悠真を見る。

奈津「……そう?」

悠真「うん。」

春空もその流れを見て、少しだけ笑った。

春空「じゃあ俺も手伝おうかな。」

莉麻「えっ、みんなでやってくれるの?」

春空「うん。」

莉麻「ありがとう。」

莉麻は嬉しそうに笑う。

けれど三人は知っている。

仕事だけが理由ではない。

莉麻のそばにいたい。

ただ、それだけだった。