握られた手を見て、莉麻は少し驚いていた。

悠真の手は温かい。

けれど、その握り方はいつもより少しだけ強かった。

莉麻「……悠真くん?」

悠真「ごめん。」

そう言って、悠真は一度手を離そうとする。

けれど莉麻は、その手を逃がさなかった。

莉麻「ううん。」

そして――。

莉麻「ありがとう。」

悠真が顔を上げる。

莉麻は穏やかに笑っていた。

莉麻「じゃあ、これからはもっと頼らせてもらうね。」

その瞬間悠真の表情が、ほんの少しだけ緩んだ。

悠真「……うん。」

その二人の姿を、少し離れた場所から春空が見ていた。

さっきまで莉麻に抱きしめてもらっていた自分。

そして今、悠真が莉麻の手を握っている。

春空の胸が、また少しだけ苦しくなる。

春空「……。」

隣にいた奈津も、その光景を見ていた。

そして春空の表情に気づく。

奈津「……春空。」

春空「ん?」

奈津「どうした?」

春空は一瞬だけ黙る。

けれど、すぐにいつもの笑顔を作った。

春空「……なんでもないよ。」

そう言ったものの。

その笑顔の奥では――

「俺も莉麻ちゃんの隣にいたい」

そんな気持ちが、少しずつ大きくなっていた。