やがて電気が完全に復旧する。

パッと部屋が明るくなった瞬間、春空が眩しそうに目を細めた。

春空「……よかった。」

莉麻「ふふっ。」

春空「なに?」

莉麻「安心した顔してる。」

春空「だって怖かったんだもん。」

少しおどけたように言う春空。

さっきまでの弱った姿を隠すように、いつもの調子に戻っている。

莉麻はそんな春空を見て、ほっとしたように笑った。

すると――悠真がゆっくり莉麻のところへ歩いてくる。

悠真「莉麻ちゃん。」

莉麻「なに?」

悠真「……ちょっといい?」

莉麻「うん。」

悠真は莉麻を少しだけ廊下の端へ連れていく。

春空と奈津から少し離れたところで、足を止める。

悠真は何か言いたそうに莉麻を見る。

けれど、なかなか言葉が出てこない。

莉麻「……どうしたの?」

悠真「……。」

莉麻が心配そうに覗き込む。

すると悠真は、少しだけ視線を逸らした。

悠真「さっき……春空のこと、怖がってたから抱きしめてたでしょ?」

莉麻「うん。」

悠真「……優しいね。」

莉麻「え?」

悠真「誰かが困ってたら、すぐ助けてあげるから。」

莉麻は少し照れたように笑う。

莉麻「そんな大したことじゃないよ。」

その言葉を聞いて、悠真は胸の奥がきゅっとなる。

――大したことじゃない。

莉麻にとっては、きっとそうなんだ。

でも自分にとってはあの優しさが、どんどん特別になっている。

悠真「……莉麻ちゃん。」

莉麻「なに?」

悠真は少し迷ったあと、莉麻の手をそっと握った。

悠真「……俺にも、たまには頼ってね。」

莉麻は驚いたように瞬きをした。