やがて、非常灯がぼんやりと点いた。

真っ暗だった部屋が、薄暗く照らされる。

莉麻は春空の顔を覗き込んだ。

莉麻「春空くん、もう少し大丈夫そう?」

春空は目を開けると目の前にいる莉麻。

近い距離。

さっきまで抱きしめていたことを思い出した瞬間――。

春空の顔が一気に赤くなった。

春空「……っ。」

慌てて腕を緩める。

春空「ご、ごめん……。」

莉麻「え? なんで謝るの?」

春空「いや……その……ずっと抱きついてたから。」

莉麻「怖かったんだから仕方ないよ。」

莉麻は何でもないように笑う。

その笑顔に、春空はますます胸が苦しくなる。

――莉麻ちゃんは、何も思ってないんだ。

それが少し寂しい。

けれど同時にさっき抱きしめてもらった温もりが、まだ身体に残っている。

春空「……莉麻ちゃん。」

莉麻「なに?」

春空は少し迷う。

そして、照れくさそうに笑った。

春空「……また暗くなったら、そばにいてね。」

莉麻「もちろん。」

その答えに、春空は小さく笑った。

けれど、その後ろで。

悠真は二人を見ながら、ぎゅっと手を握っていた。

奈津もまた、何も言わず莉麻を見つめている。

そして――三人とも、それぞれ違う気持ちを抱えながら。

同じ一人の女の子を見つめていた。