真っ暗な部屋の中莉麻は急いで春空のそばへ駆け寄った。

莉麻「春空くん、大丈夫?」

返事がない。

よく見ると、春空は両手を強く握りしめ、目をぎゅっと閉じている。

呼吸も少しだけ速くなっていた。

春空「……ごめん。」

莉麻「え?」

春空「俺……暗いの、苦手で……。」

その声は、いつもの明るい春空とは全然違った。

莉麻はすぐに彼の隣にしゃがみ込む。

そして、怖がらせないようにゆっくりと腕を伸ばした。

莉麻「大丈夫だよ。」

そのまま、春空を優しく抱きしめる。

莉麻「ここにいるから。」

春空の身体が、ぴくっと震えた。

けれど次の瞬間――。

ぎゅっ。

春空も目を強く閉じたまま、莉麻の身体に腕を回した。

まるで離れてしまったら、また一人で暗闇の中に取り残されるような気がして。

莉麻の服をしっかりと掴む。

春空「……莉麻ちゃん。」

莉麻「うん。」

莉麻は春空の背中をゆっくり撫でる。

そして、そのまま頭にも手を添えた。

莉麻「怖くないよ。」

莉麻「電気がつくまで、ずっとここにいるから。」

春空は何も言わなかった。

ただ、莉麻の肩に顔を埋める。

その腕に、少しずつ力がこもっていく。

春空「……ほんと?」

莉麻「うん。本当。」

優しく髪を撫でられるたびに、春空の呼吸が少しずつ落ち着いていく。

そして――暗闇の中で春空は強く目を閉じながら、胸の奥で思った。

――やっぱり。

――俺、莉麻ちゃんが好きなのかもしれない。

怖くて仕方ないはずなのに今は、莉麻が抱きしめてくれていることが嬉しくて。

この時間が終わってほしくないとさえ思ってしまっていた。