莉麻「どうしたの?」
奈津は慌てて姿勢を正そうとする。
奈津「……いや。ちょっと頭痛くて。」
莉麻は奈津の顔を見る。
明らかに疲れている。
目の下も少し重い。
莉麻「昨日、ほとんど休んでないんじゃない?」
奈津は少し黙る。
図星だった。
奈津「……まあ。」
莉麻「やっぱり。」
莉麻は奈津の隣へ腰を下ろす。
そして、自分の隣を軽く叩いた。
莉麻「少し休もう。」
奈津「でも、まだ仕事――」
莉麻「五分だけでも。そのくらいなら大丈夫だよ。」
奈津は少し迷った。
けれどもう身体が限界だった。
ゆっくり莉麻の隣へ座る。
背もたれへ身体を預ける。
目を閉じた瞬間、疲労が一気に押し寄せてきた。
莉麻が心配そうに顔を覗き込む。
莉麻「エラいね。」
その言葉に、奈津は目を開ける。
奈津「……え?」
莉麻は優しく笑っていた。
莉麻「悠真くんのことも心配して。ライブではみんなを引っ張って。終わったあとも病院についていって。それなのに、自分のことは後回しにしてる。」
奈津は何も言えなくなる。
そして気づけば、身体が自然と莉麻の方へ傾いていた。
莉麻の肩へ、そっと頭を預ける。
自分でも驚いた。
こんなことをするつもりなんてなかった。
でも今だけはこのままでいたかった。
莉麻も驚いた様子を見せたけれど、何も言わなかった。
ただ、奈津の頭へそっと手を伸ばす。
そして優しく撫でる。
莉麻「……よく頑張ってるね。」
その一言が奈津の胸の奥へ、深く入り込んだ。



