ツアーが終わっても、事務所の仕事が完全になくなるわけではなかった。

ライブの片付けや今後のスケジュール確認。

メンバーそれぞれの仕事も入っていて、事務所はいつも通り慌ただしい。

その中で奈津も、いつもと変わらず動いていた。

けれど昨日から、ほとんどまともに休めていない。

悠真が倒れたあと、病院まで付き添った。

その後もスタッフと今後の予定を確認して、帰宅したのはかなり遅い時間。

少しだけ眠って、また朝から仕事。

身体には疲労が溜まっていた。

それでも奈津は、いつも通り周りを見ていた。

悠真の体調。

メンバーのスケジュール。

スタッフとの確認。

全部、自分がちゃんとしなければと思っていた。

ふと、頭の奥がズキッと痛んだ。

奈津「……っ。」

思わず眉を寄せる。

誰もいない廊下の端で立ち止まり、片手で頭を押さえた。

目を閉じる。

最近、悠真の様子がおかしいことに気づけなかった。

熱を出した時も無理をしていた時も。

そして昨日、ライブ中に限界になった時ももっと早く気づけたんじゃないか。

リーダーなのにとそんな思いが、ずっと頭の中に残っていた。

奈津「……俺、何やってんだろ。」

小さく呟いて、壁へ背中を預ける。

その時。足音が近づいてきた。

莉麻「……奈津くん?」

奈津が顔を上げる。

莉麻だった。