事務所へ戻ると、ツアーの片付けが始まった。

スタッフが荷物を運び、メンバーもそれぞれ自分の荷物を整理していく。

莉麻もマネージャーと一緒に動いていた。

悠真は少し離れた場所から、その姿を目で追っている。

すると奈津が莉麻のところへ近づいた。

奈津「莉麻ちゃん、それ重くない?」

莉麻「大丈夫だよ。」

奈津「貸して。」

そう言って、莉麻が持っていた荷物を自然に受け取る。

莉麻「ありがとう。」

そのやり取りを見て、悠真の胸がまたざわつく。

――また。

昨日からずっとそうだ。

奈津が莉麻に優しくするたびに、気になって仕方がない。

自分でも嫌になるくらい。

その時、春空が悠真の横へ来た。

春空「悠真。」

悠真「ん?」

春空「さっきから莉麻ちゃんのこと見てない?」

悠真の心臓が跳ねる。

悠真「……え?」

春空「いや。なんとなく。」

悠真は咄嗟に目を逸らした。

悠真「気のせいじゃない?」

春空は少しだけ笑った。

春空「ふーん。」

それ以上は何も言わない。

けれど悠真の胸は落ち着かなかった。

自分では隠しているつもりなのに。

もしかしたら、もう周りにも分かるくらいなのかもしれない。