病院の外へ出る。

眩しい朝の光に、莉麻は目を細めた。

昨日までのツアーの騒がしさが嘘みたいに、今日は穏やかな朝だった。

莉麻「……なんか、不思議。」

奈津「何が?」

莉麻「昨日まで全国ツアーで、あんなに忙しかったのに今日はこうして病院から帰ってる。」

奈津が苦笑する。

奈津「本当に、最後まで何が起こるか分からないな。」

悠真も小さく笑った。

悠真「……ほんとだね。」

三人で車へ向かう。

その途中で莉麻が少し前を歩いた。

悠真は無意識にその背中を目で追う。

好き。

その気持ちを自覚してから、莉麻の一つ一つの動きが気になって仕方がない。

笑っているところ。

自分を心配してくれるところ。

名前を呼んでくれる声。

全部が好きだと思う。

そしてその隣を奈津が歩くたびに、胸が少しざわつく。

昨日までは考えもしなかったのに。

今は、莉麻の隣を誰かに取られたくない。

そんな自分に、悠真は小さく苦笑した。

――俺、こんなに嫉妬するんだ。

その時、莉麻が振り返った。

莉麻「悠真くん?」

悠真「ん?」

莉麻「ぼーっとしてるけど、大丈夫?」

悠真は一瞬だけ目を丸くして、それから笑った。

悠真「大丈夫。」

そして、少しだけ莉麻の隣へ歩幅を合わせる。

今はまだ好きだと伝える勇気はない。

でも少しずつでいい。

莉麻の隣にいられる時間を、増やしていきたい。

そう思った。