退院の準備を終え、三人は病室を出た。

廊下を歩く莉麻の隣には悠真。

反対側には奈津。

悠真はまだ少し足元がおぼつかない。

莉麻がすぐに気づく。

莉麻「悠真くん、ゆっくりで大丈夫だよ。」

悠真「うん。」

奈津「無理すんなよ。」

悠真「分かってる。」

莉麻に支えられながら歩く悠真。

けれどふと気づく。

莉麻の腕が、自分のすぐ隣にある。

昨日もそうだった。

自分が苦しくなった時、一番最初に駆け寄ってくれた。

倒れそうになった自分を受け止めて。

何度も「大丈夫」と声をかけて。

最後までそばにいてくれた。

そのことを思い出すと、自然と莉麻へ身体が近づいてしまう。

莉麻も気づいて、少し笑った。

莉麻「まだふらつく?」

悠真は一瞬迷う。

本当は、もう少しだけそばにいたい。

でもそんなこと言えるわけがない。

悠真「……ちょっとだけ。」

莉麻は何も疑わず、支える手に少し力を入れた。

莉麻「じゃあ、ゆっくりね。」

その優しさに、悠真は小さく頷いた。

少し前を歩いていた奈津が、ふと振り返る。

そして二人の距離を見て、何も言わずに視線を前へ戻した。

奈津の胸にも、昨日から芽生えたばかりの感情があった。

莉麻が気になる。

もっと知りたい。

もっと近くにいたい。

その気持ちは、まだ小さい。

でも確かに、そこにあった。