奈津が莉麻と話している間、悠真は何度も二人を見てしまう。
奈津が何かを言えば、莉麻が笑う。
莉麻が話せば、奈津が優しく相槌を打つ。
その距離が、妙に近く感じる。
――嫌だ。
また、そう思った。
自分でも驚くほど、はっきりと。
悠真は視線を逸らし、ベッドへ身体を預ける。
すると莉麻がすぐに気づく。
莉麻「眠い?」
悠真「……ちょっと。」
莉麻「じゃあ、少し寝る?」
悠真「ううん。大丈夫。」
本当は、眠いわけじゃない。
ただ莉麻が奈津と楽しそうに話しているのを見ているのが、苦しいだけだった。
そんな自分が嫌になる。
奈津は何も悪くない。
莉麻だって、ただ普通に話しているだけ。
それなのに自分だけが勝手に嫉妬している。
悠真は小さく息を吐いた。
その時、奈津が立ち上がった。
奈津「俺、ちょっとスタッフと話してくる。」
莉麻「うん。ありがとう、朝ごはんも。」
奈津「いいよ。」
そして奈津が病室を出ていく。
ドアが閉まる。
静かになる。
莉麻が悠真を見る。
莉麻「奈津くん、優しいよね。」
その言葉を聞いた瞬間。
悠真の胸が、またきゅっと締まった。
悠真「……うん。」
それしか言えない。
でも心の中では、別の言葉が浮かんでいた。
――優しい。
分かってる。
俺だって、奈津がいい奴なのは知ってる。
だからこそ余計に怖い。
莉麻が奈津を好きになったら。
奈津が莉麻を好きになったら。
その瞬間、自分には何もできない気がした。
悠真は目を閉じる。
そして、もう一度自分の気持ちを確かめる。
――俺は。
莉麻ちゃんが好きなんだ。



