保冷剤を替えてから、しばらく時間が過ぎた。
部屋にはエアコンの静かな音だけが流れている。
悠真の額に浮かんでいた汗も少し引いて、呼吸もさっきより穏やかになっていた。
……よかった。
少しは楽になったみたい。
眠そうに目を閉じたり開いたりを繰り返す悠真を見つめながら、莉麻は小さく微笑む。
このまま眠れたら、きっともっと良くなる。
そう思った。
ふと時計を見ると思っていたより時間が経っていた。
そろそろ帰った方がいいよね。
初対面の人がいつまでも家にいるのは、きっと落ち着かない。
そう思って、莉麻は姿勢を正した。
莉麻「あっ……そういえば。」
悠真がゆっくり目を向ける。
莉麻「私、ちゃんと自己紹介してませんでした。」
少し照れくさそうに笑う。
莉麻「莉麻です。短大に通ってる二十歳です。」
(今日は偶然悠真くんを見つけて……放っておけなくて。)
その言葉は、少し恥ずかしくて飲み込んだ。
代わりに優しく笑う。
莉麻「改めて、よろしくお願いします。」



