悠真は、布団の中でそっと手を握った。

莉麻を取られる。

そんな言葉が、突然頭に浮かんだ。

まだ誰のものでもない。

奈津だって、何も言っていない。

それなのになぜか、莉麻が自分から離れてしまうような気がした。

胸が苦しい。

昨日、あれだけ苦しかったのとは違う。

もっと別の苦しさ。

莉麻が奈津へ向ける笑顔を見ているだけで、胸がざわざわする。

……嫌だ。

莉麻ちゃんが、誰かのところへ行くの。

そんなことを考えてしまう自分に戸惑う。

だって俺は莉麻ちゃんのことを、ただ信頼しているだけだと思っていた。

熱中症になった時、助けてもらったから。

優しくしてくれたから。

そばにいてくれると安心するから。

だから特別なんだと思っていた。

でも違う。

悠真はゆっくり顔を上げる。

莉麻がこちらを見ている。

目が合った。

莉麻「どうしたの?」

いつもの柔らかい笑顔。

その瞬間胸が大きく鳴った。

……ああ。

そういうことか。

悠真は、自分の中にあった気持ちを初めて認めた。