そんな二人の会話を、悠真は黙って聞いていた。

奈津が莉麻を心配している。

莉麻も奈津を心配している。

昨日までは、そんなことを気にしたことなんてなかった。

なのに。

なぜか今日は、少しだけ気になる。

悠真「……奈津。」

奈津「ん?」

悠真「昨日、帰った?」

奈津「一回だけな。スタッフと話してから、少し寝て帰った。」

悠真は小さく頷いた。

悠真「そっか。」

そして、ふと莉麻を見る。

悠真「莉麻ちゃんは?」

莉麻は少しだけ笑った。

莉麻「私はここにいたよ。」

その答えに、悠真の表情が止まる。

悠真「……ずっと?」

莉麻「うん。一人にするの心配だったから。」

悠真は何も言えなくなる。

胸の奥が、じんわり温かくなる。

でも同時に。

昨日の自分を思い出して、少し恥ずかしくなった。

莉麻に抱きつくようにしがみついて。

服を掴んで。

涙まで見せて。

悠真「……ごめん。」

莉麻「何が?」

悠真「昨日……。」

言葉が続かない。

莉麻は少し考えてから、優しく笑った。

莉麻「謝らなくていいよ。怖かったんだから、仕方ないよ。」

その言葉に、悠真は目を伏せた。