その時、病室のドアがノックされた。
奈津「入るぞ。」
奈津が顔を出す。
手にはコンビニの袋を持っていた。
奈津「おはよう。」
莉麻「奈津くん、おはよう。」
悠真も小さく頭を下げる。
悠真「おはよう。」
奈津は悠真の顔を見る。
昨日とは明らかに違う。
少し安心したように笑った。
奈津「顔色、だいぶ戻ったな。」
悠真「うん。」
奈津は袋をテーブルへ置く。
奈津「莉麻ちゃん、昨日から何も食べてないだろ。」
莉麻が目を丸くする。
莉麻「え?」
奈津「ずっと悠真のそばにいたじゃん。これ、朝飯。」
袋から飲み物と軽く食べられるものを取り出す。
莉麻「ありがとう……。」
奈津は少し照れたように笑った。
奈津「昨日、莉麻ちゃんも疲れてたから。」
その言葉に莉麻は小さく笑う。
莉麻「奈津くんも、ちゃんと休んだ?」
奈津「……まあ、それなりに。」
悠真が二人の会話を静かに見ている。
奈津が莉麻を気遣っていること。
莉麻も奈津のことを気にかけていること。
なぜか胸の奥が、ほんの少しだけざわついた。
その感情が何なのか。
悠真自身も、まだ分かっていなかった。



