病室の外では、スタッフが帰りの準備をしていた。
メンバーも順番に帰ることになった。
最後に奈津が病室の前で立ち止まる。
奈津「じゃあ、俺も帰る。」
莉麻「うん。今日は本当にお疲れさま。」
奈津は少し笑った。
奈津「莉麻ちゃんも。……ありがとう。」
それだけ言って、歩き出す。
数歩進んだところで、奈津は一度振り返った。
莉麻はまだ病室の中にいる。
悠真のそばで、静かに座っている。
その横顔を見つめる。
――俺、どうしたんだろう。
今日まで、こんなふうに誰かを気にしたことなんてなかった。
なのにもっと一緒にいたいと思う。
もっと話したいと思う。
あの笑顔を、もう一度見たいと思う。
そんな自分に、奈津は小さく苦笑した。
一方、病室では。
莉麻が眠っている悠真を見つめていた。
莉麻「……今日は本当に頑張ったね。」
静かな声。
悠真は眠ったまま。
莉麻は椅子に座ったまま、少しだけ目を閉じる。
ツアーは終わった。
でも。今日の出来事が、これからの二人に残したものは大きかった。
そして悠真だけじゃない。
奈津の中にも。
小さな恋の芽が、静かに生まれ始めていた。



