病室へ戻ると、悠真はまだ眠っていた。

点滴を受けながら、静かに呼吸をしている。

莉麻はベッドの横まで近づき、少しだけ顔を覗き込んだ。

さっきより顔色は落ち着いている。

それだけで、胸の奥が少し軽くなった。

莉麻「……よかった。」

小さく呟いて、椅子へ座る。

眠っている悠真の手元を見る。

さっきまで、自分の服を必死に掴んでいた手。

あの時の苦しそうな顔が、まだ頭から離れない。

怖かっただろうな。

苦しかっただろうな。

それでも最後までステージに立った。

莉麻はそっと布団の上から、悠真の手の近くへ自分の手を置いた。

すると眠っていた悠真の指が、ほんの少し動いた。

莉麻が顔を上げる。

悠真「……莉麻……ちゃん……」

寝言のような、小さな声。

莉麻の胸がきゅっとなる。

莉麻「うん。ここにいるよ。」

悠真は目を開けない。

でも、安心したように表情が少し緩んだ。

その姿を見ていると、莉麻も自然と笑ってしまった。