病院へ着くと、すぐに悠真は診察を受けることになった。

莉麻と奈津は廊下で待つ。

しばらくして、スタッフから声がかかった。

「点滴をして、少し休ませましょう。」

その言葉に、莉麻はようやく小さく息を吐いた。

点滴を受けるため、悠真は病室へ入っていく。

莉麻が中へ入ると、ベッドの上で横になった悠真がこちらを見た。

莉麻「ゆっくり休んでね。」

悠真は小さく頷く。

悠真「……うん。」

疲れ切っているのか、まぶたが重そうだった。

点滴が始まってしばらくすると、悠真は静かに目を閉じた。

眠ったのを確認してから、莉麻と奈津は病室の外へ出た。

廊下の椅子に並んで腰掛ける。

二人とも、しばらく何も言わなかった。

やがて奈津が、両手で頭を抱えるようにして深く息を吐いた。

奈津「……はぁ。」

その姿を見て、莉麻は心配そうに隣を見る。

莉麻「奈津くん。」

奈津が顔を上げる。

莉麻「今日、ライブお疲れさま。すごく疲れてるよね。大丈夫?」

思いがけない言葉だった。

奈津は少し目を見開く。

自分が心配されるなんて、考えていなかった。

今日は悠真のことで頭がいっぱいだった。

自分だって、前半から最後までステージに立っていた。

身体は重い。

喉も疲れている。

それでも誰かの心配をする側だと思っていた。

奈津「……俺?」

莉麻「うん。奈津くんもずっとステージにいたからちゃんと休めてないでしょ?」

莉麻の声は、あくまで自然だった。

特別なことを言っているわけじゃない。

ただ、本当に心配している。

そのことが、奈津には妙に胸に残った。