移動の準備をしている間、莉麻は悠真の荷物をまとめていた。

必要なものだけをバッグへ入れていく。

その様子をベッドから眺めていた悠真が、ぽつりと声をかける。

悠真「莉麻ちゃん。」

莉麻「ん?」

悠真「……迷惑かけたね。」

莉麻の手が止まる。

そして、ゆっくり悠真を見る。

莉麻「迷惑じゃないよ。」

悠真「でも……。」

莉麻「本当にそんなこと気にしなくていいから。」

悠真は黙った。

莉麻は少しだけ笑う。

莉麻「むしろ、もっと早く気づいてあげたかった。」

その言葉に、悠真は目を伏せる。

悠真「……十分だよ。莉麻ちゃんが来てくれたから。」

小さな声。

莉麻は何も言えなくなった。

あの時苦しそうに自分へしがみついてきた悠真。

涙まで流していた。

思い出すだけで胸が痛くなる。

莉麻は悠真の前へ戻ると、そっと目線を合わせた。

莉麻「今日はもう頑張らなくていいからね。」

悠真は少しだけ笑う。

悠真「……うん。」

そして莉麻が立ち上がろうとした瞬間。

悠真の指が、また莉麻の服の袖を掴んだ。

無意識なのか。

それとも、離れたくないのか。

悠真自身も気づいていないようだった。