救護室の外から、スタッフの声が聞こえてくる。
「病院へ移動する準備ができました。」
莉麻は悠真の手を握ったまま、少しだけ顔を上げた。
莉麻「悠真くん。これから病院に行こうね。」
悠真はまだ少しぼんやりした目で莉麻を見る。
悠真「……病院?」
莉麻「うん。念のため、ちゃんと診てもらおう。」
悠真は少し考えるように目を伏せる。
ライブは終わった。
もうステージへ戻る必要もない。
それでも、身体はまだ重かった。
悠真「……うん。」
小さく頷く。
奈津がすぐにスタッフへ声をかける。
奈津「俺も一緒に行きます。」
その言葉に悠真が少しだけ顔を上げる。
悠真「奈津……。」
奈津「当たり前だろ。」
そう言って笑う。
その横で莉麻は、まだ悠真の手を握っていた。
悠真も、その手を離そうとはしなかった。



