奈津が悠真の目を覚ましたことに気づき、すぐに近づいてくる。

奈津「悠真。」

悠真が顔を向ける。

悠真「……奈津。」

奈津「よかった。本当に心配した。」

悠真は少し申し訳なさそうに目を伏せる。

悠真「……ごめん。」

奈津「謝るな。今は何も考えなくていい。」

悠真は小さく頷いた。

そして、もう一度莉麻を見る。

さっきまで自分がどれだけ苦しくて。

どれだけ怖かったのか。

少しずつ思い出していく。

早い呼吸。

震える身体。

立っていられなくなった瞬間。

そして――

自分を受け止めてくれた莉麻。

莉麻の服を必死に掴んだこと。

泣いてしまったこと。

全部思い出す。

恥ずかしい。

弱いところを見られた。

そう思うのに。

莉麻がそばにいることが、どうしようもなく安心する。

悠真「……莉麻ちゃん。」

莉麻「うん?」

悠真は少しだけ迷ったあと。

小さな声で言った。

悠真「……いてくれて、ありがとう。」

莉麻は柔らかく笑う。

莉麻「ううん。当たり前だよ。」

その言葉に、悠真は目を細めた。

そして握ったままの莉麻の手を、今度は自分から離さなかった。