ゆっくりとこちらを向いたその瞳は、どこか焦点が合っていない。
顔色も悪い。
額には汗が滲んでいて、立っているだけでも精一杯なのが伝わってきた。
本当に……悠真くんだ。
テレビの中で笑っている姿とは違う。
こんな近くで見る悠真くんは、苦しそうで。
胸が締めつけられた。
莉麻「顔色……すごく悪いです。熱中症ですか……?」
悠真は一瞬だけ目を伏せ、小さく息を吐く。
悠真「……ごめん。」
かすれた声だった。
謝ることじゃないのに。
莉麻「謝らないでください。今は体が一番大事です。」
優しくそう言うと、悠真は少しだけ目を見開いた。
──俺だって気づいた。
その事実だけで、胸の奥がひやりとする。
人が集まったらどうする。
写真を撮られたらメンバーに迷惑をかける。
頭ではそんなことばかり浮かぶのに。
目の前の女の子は、そんな空気をまるで感じさせなかった。
“悠真”じゃなくて。
“体調の悪い一人の人”を見ているような目だった。
……なんで。
こんな人、いるのか。
普通なら騒いだり写真を撮ってSNSに載せたりする。
そんな人ばかり見てきた。
なのに、この子は違う。



