莉麻「悠真くん……!」

腕の中に倒れ込んできた悠真の身体は、力が抜けていた。

けれど呼吸だけは止まらない。

むしろ、さらに速くなっている。

悠真「……っ、は……っ!……っ、はぁ……っ、は……!」

胸が激しく上下する。

肩が震える。

息を吸おうとして口を開くけれど、呼吸がうまく整わない。

莉麻はすぐに悠真の身体を支え直した。

莉麻「大丈夫。ここにいるから。」

悠真は莉麻の声を聞いて、ゆっくり顔を上げる。

その目に涙が浮かんでいた。

一粒。

頬を伝う。

そしてまた一粒。

声を出そうとする。

でも、言葉にならない。

悠真「……っ、は……」

唇が震える。

莉麻の服を掴む。

ぎゅっ。

まるで、そこに縋るしかないみたいに。

もう片方の手も莉麻の腕へ回る。

必死にしがみつく。

莉麻「うん。大丈夫だから。」

莉麻は背中へ腕を回した。

ゆっくり、何度もさする。

莉麻「今は何もしなくていいよ。着替えなくていい。ライブのことも考えなくていいから。」

悠真は答えられない。

ただ、莉麻の服を掴む指にさらに力が入る。

呼吸はまだ速い。

悠真「……っ、は……っ、は……!」

涙がまた頬を伝う。

莉麻はその涙を見て、胸が苦しくなった。

いつもの悠真からは想像できない。

ステージでは、あんなに堂々としていたのに。

今はただ苦しそうに息を繰り返しながら、自分にしがみついている。

莉麻「大丈夫。怖くないよ。私、ここにいるから。」

その声に反応するように、悠真が莉麻の肩へ額を押しつける。

それでも呼吸は止まらない。

莉麻「スタッフさん!」

莉麻が顔を上げる。

莉麻「酸素吸入器、お願いします!できるだけ早く!」

スタッフがすぐに走っていく。

莉麻はその間も悠真を離さなかった。