ツアー最後のライブ。

前半から激しい曲が続き、会場は大歓声に包まれていた。

ステージ袖では、莉麻も次の衣装や小物を確認しながら、スタッフと一緒に動いている。

そして前半最後の曲が終わった。

六人が一斉に袖へ戻ってくる。

スタッフ「早着替え入ります!」

一気に慌ただしくなる。

莉麻は春空の衣装を受け取り、スタッフと一緒に着替えを手伝う。

莉麻「春空くん、次これね。」

春空「ありがとう。」

その隣では陽、伊澄、奈津も急いで着替えている。

みんな激しく踊った直後で、息が上がっていた。

そんな中。

莉麻はふと、少し離れたところにいる悠真へ目を向けた。

――あれ?

悠真が、まだ衣装に手をかけたまま動いていない。

肩が大きく上下している。

一度、深く息を吸う。

けれど。

悠真「……っ、は……!」

すぐにまた息を吸う。

悠真「……っ、はっ……は……っ」

呼吸が異様に速い。

肩が大きく揺れている。

衣装を掴んでいる指も、細かく震えていた。

一度息を吐こうとしても、うまく吐けない。

吸って吐いてまた吸って。

なのに苦しい。

どんどん呼吸が速くなる。

悠真「……っ、は……っ、はぁ……っ」

衣装を掴んだ手も震えている。

早く着替えなきゃ。

そう思っているのに、呼吸が言うことを聞かない。

空気を吸っているのに、全然入ってこない。

苦しい。

苦しい。

なのに、もっと吸わなきゃと思ってしまう。

莉麻は手を止めた。

明らかにおかしい。

莉麻「……悠真くん?」

返事がない。

悠真は苦しそうに胸元へ手を当てる。

視線も定まっていない。

莉麻はすぐに駆け出した。

けれど――

その途中悠真の身体が大きく揺れた。

莉麻「悠真くん!」

膝が、ガクッと折れる。

そのまま床へ崩れ落ちそうになる。

莉麻は必死に手を伸ばした。

間一髪。

倒れる寸前の悠真を、身体ごと受け止めた。