会場へ入ると、朝から慌ただしく動いていたスタッフたちが、さらに忙しそうに行き交っていた。

莉麻はマネージャーから渡された進行表を確認しながら、今日の動きを頭の中へ入れていく。

最後の公演。

今までの会場とは少し違う。

客席も広く、スタッフの人数も多い。

いつも以上に確認することが多かった。

マネージャー「莉麻ちゃん、まず楽屋の確認お願いできる?」

莉麻「はい。」

すぐに楽屋へ向かう。

飲み物の数。

タオル。

衣装。

必要な小物。

一つずつ確認していく。

その途中、春空が楽屋へ入ってきた。

春空「おはよう。」

莉麻「おはよう。」

春空は莉麻の手元を覗き込む。

春空「もう仕事してる。」

莉麻「最後だから、ちゃんと確認しておきたくて。」

そう言って笑うと、春空も少しだけ笑った。

春空「莉麻ちゃんらしい。」

そして、ふと莉麻の手元を見る。

春空「これ、持つよ。重そう。」

そう言って、莉麻が持っていた箱を受け取る。

莉麻「ありがとう。」

春空「ううん。」

そのまま二人で楽屋の中を確認していく。

ツアーが始まった頃よりも、ずっと自然に隣を歩けるようになっていた。