車が再び走り出してから、しばらく。
さっきまで話していた春空も、今は窓の外をぼんやり眺めていた。
莉麻も同じように外を見る。
流れていく景色の向こうに、今回のツアー最後の会場がある。
ここまで来ると、楽しみな気持ちと同時に、少しだけ寂しくなる。
この車でみんなと移動するのも。
ライブのたびに慌ただしく準備するのも。
あと少しで終わる。
そんなことを考えていると、隣から小さな声がした。
春空「莉麻ちゃん。」
莉麻「ん?」
春空「ツアー終わったらさ。」
少しだけ間を置く。
春空「普通に事務所で会えるよね?」
思いがけない言葉に、莉麻は目を瞬かせた。
莉麻「もちろん。マネージャーなんだから会えるよ。」
その答えを聞いて、春空は安心したように笑った。
春空「そっか。」
その表情があまりにも素直で、莉麻も笑ってしまう。
莉麻「どうしたの?」
春空「なんか……ツアー終わったら、急に莉麻ちゃんと会う時間減る気がして。」
少しだけ寂しそうに笑う。
莉麻の胸が、ほんの少しだけ温かくなる。
莉麻「仕事がある時は、これからも一緒だよ。」
春空「うん。それならいいや。」
春空はそう言って、また窓の外へ顔を向けた。



