部屋へ入ると、大きなベッドが目に入る。
莉麻「ゆっくり座ってください。」
悠真をベッドへ腰掛けさせる。
そのまま靴を脱ぎ、ゆっくり横になれるよう背中へ手を添えた。
柔らかなマットレスへ体を預けた瞬間。
悠真は安心したように深く息を吐く。
悠真「……はぁ……。」
さっきまで力が入っていた肩が、少しだけ緩んだ。
それを見て、莉麻もようやく胸を撫で下ろす。
まだ顔色は悪い。
でも、外にいた時よりはずっと落ち着いて見えた。
莉麻「あの……。」
悠真がゆっくり目を向ける。
莉麻「冷えたタオルとか、お薬とか……必要な物があった方がいいと思うんです。」
少しだけ遠慮がちに続ける。
莉麻「お部屋の中、探しても大丈夫ですか?」
悠真は数秒、莉麻を見つめていた。
初対面なのに家へ入れて部屋まで案内して。
こんなに任せてしまっている。
普通なら考えられない。
それでも、不思議と嫌じゃなかった。
悠真「……いいよ。」
小さく頷く。
その返事を聞いて、莉麻はほっとしたように微笑んだ。
莉麻「ありがとうございます。少し探してきますね。」
そう言って部屋を出る莉麻の後ろ姿を見送りながら、悠真は重たい瞼をゆっくり閉じた。
──どうしてこんなに安心できるんだろう。
その答えはまだ分からないまま、静かな部屋に穏やかな空気だけが流れていた。



