ツアー初日の会場へ向かう車の中。
窓の外には、まだ見慣れない街並みが流れている。
莉麻は膝の上に置いたスケジュール表を何度も確認していた。
集合時間。
リハーサル。
本番。
終演後の移動。
頭の中で何度も順番を繰り返す。
……大丈夫。
ちゃんと準備した。
そう自分に言い聞かせていると、隣から声がした。
春空「莉麻ちゃん。」
莉麻「ん?」
春空「さっきからずっとそれ見てるけど、酔わない?」
言われて初めて、自分がずっと下を向いていたことに気づく。
莉麻「あ……。」
顔を上げる。
莉麻「大丈夫。」
春空は少し笑って、莉麻の手元からスケジュール表をそっと取り上げた。
莉麻「春空くん?」
春空「今は見なくていいよ。着くまで休もう」
そう言って、莉麻の膝へ戻す代わりに、資料を閉じて隣へ置く。
莉麻「でも……。」
春空「マネージャーが先に疲れたら、俺たち困るから。」
冗談っぽく笑う。
その言葉に、莉麻もふっと笑った。
莉麻「……ありがとう。」
春空は満足そうに頷いた。



