その日の午後事務所の会議室では、ツアーについての打ち合わせが始まっていた。
ステージ構成。
衣装。
移動スケジュール。
各会場での集合時間。
確認することは山ほどある。
莉麻は必死にメモを取っていた。
けれど、ページを埋めていくうちに少しずつ頭が追いつかなくなってくる。
……覚えること、多いな。
一度ペンを止め、深く息を吐く。
すると隣から小さな声がした。
悠真「大丈夫?」
莉麻が顔を上げる。
悠真が資料を見ながら、こちらを気にしていた。
莉麻「うん。ちょっと情報が多くて。」
苦笑すると、悠真も小さく笑う。
悠真「俺も最初は全然覚えられなかった。ツアーって、始まってみないと分からないことも多いし。」
そう言って、莉麻のメモをちらっと見る。
悠真「全部覚えようとしなくていいよ。一個ずつで。」
その言葉に、莉麻は少しだけ肩の力を抜いた。
莉麻「……うん。ありがとう、悠真くん。」
その笑顔を見て、悠真も自然に笑う。
会議室の前方では奈津が真剣にスケジュールを確認している。
その隣では春空が資料を覗き込みながら、時々莉麻の方へ視線を向けていた。
全国ツアー。
それは、VELIXにとって大きな挑戦。
そして莉麻にとっても。
六人と過ごす時間が、これまで以上に増えていく始まりだった。



