インタビュー開始の時間が近づき、スタッフが控室へ入ってくる。
「そろそろお願いします。」
メンバーが順番に席へ着いていく。
莉麻は少し離れた場所で、必要な資料を確認していた。
すると、奈津が立ち上がる。
奈津「莉麻ちゃん。」
莉麻「はい?」
奈津「さっきの写真。後でデータ、俺にも見せてもらっていい?」
莉麻「もちろん。」
奈津は少し笑う。
奈津「ありがとう。」
そのまま莉麻の肩を軽く叩いて、撮影スペースへ向かう。
莉麻はその背中を見送った。
そしてふと、思う。
昨日までなら、こうしてメンバー一人ひとりと話すことさえ緊張していた。
それなのに今は。
自然に名前を呼んで。
自然に笑って。
少しずつだけど、距離が近くなっている。
そんなことを考えていると、スタッフが声をかける。
「莉麻さん、こちらお願いします。」
莉麻「はい!」
急いで資料を持ち、スタッフのもとへ向かう。
その姿を、席に着いていた悠真が目で追う。
忙しそうに動きながらも、莉麻は誰かに呼ばれるたびに笑顔で返している。
無理しているようには見えない。
むしろ楽しそうだった。
その姿を見ていると、悠真まで自然と口元が緩んだ。
奈津「悠真。」
不意に名前を呼ばれる。
悠真「ん?」
奈津「インタビュー始まるぞ。」
悠真「あ……うん。」
慌てて前を向く。
けれど、その直前もう一度だけ莉麻の方を見た。
今度は莉麻もこちらを見ていて、目が合う。
ふわっと笑ってくれた。
悠真も小さく笑い返す。
そして、ようやく前を向いた。



