その時控室のドアがコンコンと鳴る。

莉麻「失礼します。」

返却を終えた莉麻が部屋へ戻ってきた。

莉麻「お待たせしました。」

何も知らないまま、いつもの柔らかい笑顔を見せる。

さっきまで話題の中心だった本人。

陽たちは思わず顔を見合わせた。

春空はふっと笑う。

春空「おかえり。」

すれ違いざま、自然に莉麻の肩へ軽く手を添える。

春空「ちゃんと迷わず戻ってこれた?」

莉麻「うん。マネージャーさんが場所教えてくれてたから。」

そう笑う莉麻を見て、陽が思わず吹き出した。

陽「やっぱ莉麻ちゃんって、そのまんまだね。」

莉麻「え?」

突然笑われて首を傾げる。

その仕草が可愛くて、控室に小さな笑いが広がった。

悠真もつられて笑う。

その笑顔を見た奈津は、静かに思う。

――悠真が惹かれた理由、少し分かった気がする。

何も知らずに笑う莉麻。

その優しさは、きっと作ったものじゃない。

だからこそ。

この先、この関係は少しずつ変わっていく。