撮影は順調に進んでいた。
モニターには、さっきまで笑っていた六人とは別人のような姿が映る。
「はい、春空くんもう一枚!」
「悠真くん、その目線いいです!」
スタッフの声が飛び交う。
その時だった。
撮影が一区切りし、次の衣装へ着替えるためメンバーが控室へ戻る。
莉麻は頼まれていた小物ケースを持って移動しようとした。
ところが慣れないヒールでコードに足を引っかけてしまう。
莉麻「あっ……!」
体が前へ傾く。
ケースを落としたら、中のアクセサリーが散らばってしまう。
そう思った瞬間ケースを支える手があった。
悠真「大丈夫?」
悠真だった。
片手でケースを支え、もう片方の手で莉麻の腕をそっと支える。
ケースは落ちなかった。
莉麻「ご、ごめん。」
悠真「謝らなくていいよ。」
優しく笑う。
悠真「初日はみんなこんな感じだから。」
その一言で、張りつめていた気持ちが少しだけ軽くなった。



