店を出ると、午後の日差しが照りつけていた。
スタジオまでは歩いて五分ほど。
春空は自然と莉麻の横へ並ぶ。
春空「ねぇ、莉麻ちゃん。」
莉麻「ん?」
春空「短大って忙しい?」
歩幅を合わせながら尋ねる。
莉麻「課題は多いかな。でも子どもが好きだから、実習は楽しかったよ。」
春空「へぇ。」
興味深そうに頷く。
「子どもってすぐ懐きそう。」
そう言って笑うと、横断歩道の信号が点滅し始めた。
春空「急ごっか。」
春空はそう言って、莉麻の腕を軽くぽんと叩く。
急かすというより、「行こう」という合図みたいな自然な仕草だった。
二人は少しだけ足を速める。
その少し後ろを歩いていた悠真は、その光景を静かに見つめる。
春空はいつも通り。
それは分かっている。
でも、どうしてだろう。
春空が莉麻ちゃんに触れるたび、少しだけ胸が落ち着かなくなる。



