目的の店へ着くと、個室へ案内された。
「好きなところ座って。」
マネージャーがそう言うと、それぞれ自然に席へ向かう。
莉麻は一番端へ座ろうとした。
その方が動きやすいと思ったから。
すると春空が椅子を軽く引いて笑う。
春空「莉麻ちゃん、ここ。こっち座りな。」
自然な気遣いだった。
莉麻「ありがとう。」
お礼を言って座る。
その隣へ春空も腰を下ろした。
向かいには陽と伊澄。
奈津はその様子を見ながら、悠真の方を見る。
悠真は一瞬だけ席を見つめてから、何も言わず奈津の隣へ座った。
注文を終え、店員が部屋を出ていく。
その時春空は何気なくテーブルの上の取り皿を莉麻の前へ寄せた。
春空「熱いの来ると思うから。気をつけてね。」
莉麻は少し驚いて笑う。
莉麻「ありがとう。」
その笑顔を見つめながら、春空も自然と笑みを返した。
向かい側では、悠真が湯のみを手に取りながら静かにその光景を見つめていた。
何も言わない。
でも、その視線は何度も莉麻の方へ向いてしまう。
そんな悠真の横顔を見て、奈津だけが小さく口元を緩めていた。



