その頃悠真は自販機の前でスポーツドリンクを買って戻ってきた。
部屋へ入ると、一番最初に目に入ったのは莉麻だった。
春空と楽しそうに話している。
二人とも笑っている。
春空が軽く莉麻の腕へ触れながら何か話すと、莉麻も楽しそうに笑い返した。
その光景を見た悠真は、歩く速度が少しだけゆっくりになる。
……仲良くなったんだ。
それはいいことだ。
春空は優しいし、莉麻も安心できるだろう。
そう思う。
なのに胸の奥が少しだけざわつく。
自分でも理由は分からない。
その時、莉麻が悠真に気づいた。
莉麻「悠真くん。」
笑顔で小さく手を振る。
その笑顔を見た瞬間、不思議なくらい胸のもやもやが薄れていく。
悠真も自然と笑って手を上げた。
悠真「おはよう……じゃないか。もう昼前だね。」
莉麻「ふふっ。そうだね。」
たったそれだけの会話なのに、二人の空気はどこか穏やかだった。
少し離れた場所でその様子を見ていた奈津は、春空へちらりと視線を向ける。
春空もまた、自然と莉麻を目で追っていた。
奈津は小さく息を吐く。
――少しずつ、動き始めてるな。



