帰り際。

スタジオの外へ出ると、夕暮れの風が優しく頬をなでた。

車が来るまでの短い時間。

莉麻は空を見上げ、小さく息を吐く。

今日一日が濃すぎて、まだ夢を見ているみたいだった。

その時隣へ悠真が並ぶ。

二人で同じ空を見上げる。

少しの沈黙。

先に口を開いたのは悠真だった。

悠真「……ありがとう。」

莉麻が首を傾げる。

莉麻「今日は何もしてないよ?」

悠真はゆっくり首を横に振った。

悠真「してる。莉麻ちゃんがいると。」

少し照れたように笑う。

悠真「なんか安心する。」

その一言は、飾り気のない本音だった。

莉麻は少し驚いてから、ふわっと笑う。

莉麻「それなら、よかった。」

その笑顔を見つめる悠真の表情も、自然と柔らかくなる。

少し離れた場所では、春空がその様子をぼんやり眺めていた。

隣では奈津が腕を組み、小さく笑う。

誰もまだ気づいていない。

この小さな変化がやがて四人の気持ちを大きく揺らしていくことを。

そして莉麻自身もまだ知らない。

今日始まった新しい毎日が、運命を少しずつ動かし始めていることを。